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​酒類販売業免許について

●酒類販売業って?

お酒は醸造元から卸売業者(問屋)をとおして小売業者に流通し、我々のもとに届くしくみになっています。この卸売業と小売業を行うために必要な免許が酒類販売業免許です。

酒類を継続的に販売するには、酒税法という法律に基づいて酒類を販売する場所ごとに、その所在地を管轄する税務署の酒類販売業免許を受けなければなりません。複数の店舗で販売業を行うのであれば、それぞれの店舗で免許が必要となります。

 

ところで、酒類販売とお酒を提供する飲食店では何が違うのでしょうか?簡単に言えば、酒類販売業は未開栓の種類をボトルや樽ごと売る場合に必要となります。

つまり、お酒を提供する飲食店では未開栓のままでお酒を販売してはいけないのが原則です。バーなどでボトルキープできるところがありますよね?ボトルを販売してそのまま持って帰られると酒類販売になってしまうからボトルキープにしているんですね。

もっとも、酒類の仕入れ・売上・場所・在庫管理・代金決済。記帳等が明確に区別できれば例外的に販売することが可能です。

 

 

●酒類販売業の分類

酒類販売業とひとことで言っても、販売の仕方で様々に分類されます。

大きく言えば、小売業か卸売業かの違いで分けられます。

小売業は一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許・特殊酒類小売業免許の3つに分けられます。

卸売業は全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許・洋酒卸売業免許・輸出入酒類卸売業免許・店頭販売酒類卸売業免許・協同組合員間酒類卸売業免許・自己商標酒類卸売業免許・特殊酒類卸売業免許に分けられます。

 

整理すると以下のようになります。

○小売業免許

・一般酒類小売業免許

 …販売場で消費者又は飲食店等に対して、原則として全ての品目の酒類を小売りすることができる

 

・通信販売酒類小売業免許

 …通信販売によって酒類を小売りすることができる(インターネット、カタログ、チラシなどによる通信販売)

・特殊酒類小売業免許

 …酒類の消費者等の特別の必要に応ずるため、酒類を小売りすることが認められる(例えば自社の役員及び従業員に

  対して小売する場合)


○卸売業免許

・全酒類卸売業免許

 …全ての品目の酒類を卸売できる

・ビール卸売業免許

 …ビールを卸売できる

・洋酒卸売業免許

 …果実酒、ウイスキー、発泡酒、スピリッツ等を卸売できる

・輸出入酒類卸売業免許

 …輸出される酒類、輸入される酒類を卸売できる

・店頭販売酒類卸売業免許

 …自己の会員である酒類販売業者に対して、店頭において直接酒類を引渡し、当該酒類を会員が持ち帰る方法により

  酒類を卸売できる

・協同組合員間酒類卸売業免許

 …自己が加入する事業協同組合の組合員に対して酒類を卸売できる

 

・自己商標酒類卸売業免許

 …自らが開発した商標または銘柄の酒類を卸売できる

・特殊酒類卸売業免許

 …酒類事業者の特別な必要に応じるため、酒類を卸売することが認められる

●一般酒類小売業免許について

一般酒類小売業免許は、消費者又は酒場・料理店等酒類を取り扱う業者等に販売することができる免許であり、他の酒類販売業者に対して酒類を販売することはできません。

 

○要件

以下で説明する人的要件・場所的要件・経営基礎要件・受給調整要件という4つの要件を満たす必要があります。

【人的要件】

申請者が以下の要件を満たすことが必要です。

(1) 申請者が酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けた者である場合には、取消処分を受けた日から3年を経過していること

(2) 申請者が酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許又はアルコール事業法の許可の取消処分を受けたことがある法人のその取消原因があった日以前1年以内にその法人の業務を執行する役員であった者の場合には、その法人が取消処分を受けた日から3年を経過していること

(3) 申請者が申請前2年内において国税又は地方税の滞納処分を受けたことがないこと

(4) 申請者が国税又は地方税に関する法令等に違反して、罰金の刑に処せられ又は通告処分を受けた者である場合には、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過していること

(5) 申請者が、未成年者飲酒禁止法、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(未成年者に対する酒類の提供に係る部分に限る。)、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫又は背任の罪)又は暴力行為等処罰に関する法律の規定により、罰金刑に処せられた者である場合には、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること

(6)申請者が禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過していること

 

【場所的要件】

正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に製造場又は販売場を設けようとする場合に該当しないことが必要です。

→具体的には、①申請販売場が、製造免許を受けている酒類の製造場や販売業免許を受けている酒類の販売場、酒場又は料理店等と同一の場所でないこと、②申請販売場における営業が、販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性その他販売行為において他の営業主体の営業と明確に区分されていることが必要となります。

(注)例えば、狭あいな店舗内の一部を賃借等して陳列棚を販売場とする場合などは、明確に区分されているとは認められません。

【経営基礎要件】

酒類の製造免許又は酒類の販売業免許の申請者が破産者で復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に該当しないことが必要です。

→具体的には、申請者(申請者が法人のときはその役員(代表権を有する者に限ります。)又は主たる出資者を含みます。)が、①次のイ~トに掲げる場合に該当しないかどうか、②次のチ及びリの要件を充足するかどうかで判断します。

イ 現に国税又は地方税を滞納している場合

ロ 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合

ハ 最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額(注)

を上回っている場合

ニ 最終事業年度以前3事業年度の全ての事業年度において資本等の額(注)の20%を超える額の欠損を生じている場合

ホ 酒税に関係のある法律に違反し、通告処分を受け、履行していない場合又は告発され

ている場合

へ 販売場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反しており、店舗の除却又は移転を命じられている場合

ト 申請酒類小売販売場において、酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかであると見込まれる場合

 

チ 経験その他から判断し、適正に酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること(注)

(注)申請者(申請者が法人の場合はその役員)及び申請販売場の支配人がおおむね次に掲げる経歴を有する者で、酒類に関する知識及び記帳能力等、酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力を有し、独立して営業ができるものと認められる場合は、原則として、この要件を満たすものとして取り扱うこととしています。

1免許を受けている酒類の製造業若しくは販売業(薬用酒だけの販売業を除く。)の業務に引き続き3年以上直接従事した者、調味食品等の販売業を3年以上継続して営業している者又はこれらの業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者。

なお、これらの従事経験や経営経験がない場合には、その他の業での経営経験に加え「酒類販売管理研修(17頁参照)」の受講の有無等から、①酒類の特性に応じた商品管理上の知識及び経験、②酒税法上の記帳義務を含む各種義務を適正に履行する知識及び能力等、酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力が備わっているかどうかを実質的に審査することになります。

2酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者。

リ 酒類を継続的に販売するために必要な資金、販売施設及び設備を有していること、又は必要な資金を有し免許を付与するまでに販売施設及び設備を有することが確実と認められること

 

【需給調整要件】

酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため酒類の製造免許又は酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合に該当しないことが必要です。

→具体的には、申請者が、①設立の趣旨からみて販売先が原則としてその構成員に特定されている法人又は団体、②酒場、旅館、料理店等酒類を取り扱う接客業者でないことが必要となります。

(注)1接客業者であっても国税局長において販売業免許を付与することについて支障がないと認めた場合には、免許を受けることができます。

2 (注)1の場合であって、例えば、同一の営業主体が飲食店と酒販店を兼業する場合、飲食店で提供される酒類については販売業免許を取得する必要はありませんが、酒販店で販売される酒類については販売業免許が必要となります。この場合、飲食店で提供される酒類と酒販店で販売される酒類が、仕入先等を含め混合されることがないよう、飲食店部分と酒販店部分との場所的区分のほか、飲用の酒類と酒販用の酒類の仕入・売上・在庫管理が明確に区分され、それが帳簿により確認できる等の措置がなされる必要があります。詳しくは所轄税務署を担当する酒類指導官にお問い合わせください。

 

 

○標準処理期間

一般酒類小売業免許申請の審査に必要な標準的な日数(以下「標準処理期間」といいます。)は、原則として、申請書等の提出のあった日の翌日から2か月以内となります。ただし、添付が漏れている書類や審査を行う上で必要となる参考書類の追加提出又は申請書類の補正が必要となる場合には、その連絡をした日から、その書類の提出等があるまでの間の日数は、標準処理期間から除外されます。

 

○登録免許税

一般酒類小売業免許が付与される場合、登録免許税を納付する必要があります。税務署から「酒類販売業免許に伴う登録免許税の納付通知書」により通知しますので、税務署又は金融機関等で登録免許税を納付してください。

登録免許税の額は、免許1件につき3万円です。登録免許税の納付に係る領収証書は、「登録免許税の領収証書提出書」に領収書の現物を貼付して、指定された期日までに税務署に提出してください。

○酒類販売管理者の選任

酒類小売業者は、販売場ごとに、酒類の販売業務を開始する時までに、「酒類販売管理者」を選任しなければなりません。また、この選任は2週間以内に所轄税務署長に届出なければなりません。

【酒類販売管理者に選任することができる者】

酒類販売管理者に選任することができる者は、酒類の販売業務に従事する者で酒類販売管理研修を過去3年以内に受けた者のうち、次の①~③の全てに該当する者です。なお、酒類小売業者(法人であるときはその役員)がその販売場において酒類の販売業務に従事するときは、自ら酒類販売管理者となることができます。

①次の⑴、⑵に該当しない者

⑴未成年者又は成年被後見人若しくは被保佐人

⑵酒税法第10条第1号、第2号又は第7号から第8号までの規定に該当する者

②酒類小売業者に引き続き6か月以上の期間継続して雇用されることが予定されている者(酒類小売業者と生計を一にする親族及び雇用期間の定めのない者を含みます。)

③他の販売場において酒類販売管理者に選任されていない者

 

 

○酒類販売管理者に定期的に酒類販売管理研修を受講させる義務

酒類小売業者は、酒類販売管理者に、前回の受講から3年を超えない期間ごとに研修実施団体が実施する酒類販売管理研修を受講させなければなりません。

 

 

○標識の掲示義務

酒類小売業者は、販売場ごとに、公衆の見やすい場所に、酒類販売管理者の氏名や酒類販売管理研修の受講事績等を記載した標識を掲げなければなりません。

 

 

○表示基準の遵守

酒類小売業者は、未成年者の飲酒防止に関する表示基準を遵守しなければなりません。

なお、表示基準を遵守しなかった場合には、指示・公表・命令を受けることがあり、命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処されることとなっています。

酒税法では、酒類販売業者が酒類業組合法違反により罰金刑に処せられた場合を酒類販売業免許の取消要件としています。表示基準の概要は次のとおりです。

(1) 酒類の陳列場所における表示

酒類の陳列場所の見やすい箇所に、「酒類の売場である」又は「酒類の陳列場所である」旨及び「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を表示してください。

(注)酒類の陳列場所が壁等により他の商品の陳列場所と明確に分離されていない場合は、酒類を他の商品と陳列棚等により明確に区分した上で表示するなど、陳列されている商品が酒類であることを購入者が容易に認識できる方法により表示します。

(1)の表示は、酒類の陳列場所に明瞭に表示するものとし、表示に使用する文字は、100ポイントの活字以上の大きさの日本文字としてください。

(2) 酒類の自動販売機に対する表示

酒類の自動販売機には、①「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨(使用する文字は、57ポイントの活字以上の大きさの統一のとれたゴシック体の日本文字とします。)、②免許者(酒類の製造免許又は酒類の販売業免許を受けた者をいいます。)の氏名又は名称、酒類販売管理者の氏名及び連絡先等(使用する文字は、20ポイントの活字以上の大きさの統一のとれた日本文字とします。)、③販売停止時間(午後11時から翌日午前5時)(使用する文字は、42ポイントの活字以上の大きさの統一のとれたゴシック体の日本文字とします。)を自動販売機の前面の見やすい所に表示してください。

(3) 酒類の通信販売における表示

酒類の通信販売を行う場合には、①広告又はカタログ等(インターネット等によるものを含みます。)に「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」又は「未成年者に対しては酒類を販売しない」旨、②申込書等の書類(インターネット等により申込みを受ける場合には申込みに関する画面)に、申込者の年齢記載欄を設けた上で、その近接する場所に「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」又は「未成年者に対しては酒類を販売しない」旨、③納品書等の書類(インターネット等による通知を含みます。)に「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨を表示してください。

(3)の事項は、明瞭に表示するものとし、表示に使用する文字は10ポイントの活字(インターネット等による場合には酒類の価格表示に使用している文字)以上の大きさの統一のとれた日本文字としてください。

 

●酒類卸売業免許について

ここでは酒類卸売業免許の中でも一番需要のある全酒類卸売業免許について説明します。

全酒類卸売業免許とビール卸売業免許の申請は抽選方式となっています。ですので、必ず付与されるものではありません。

毎年9月1日に公募が始まり、9月30日までに提出された申請が抽選の対象となります。10月に入ると抽選が行われ、審査順位が決まります。審査順位の順に審査され、免許拒否要件に該当しなければ免許が付与されます。

 

 

○要件

酒類卸売業免許の要件も、酒類販売業免許の4要件と共通します。もっとも、需給調整要件に関して、全酒類卸売業免許及びビール卸売業免許については、それぞれの免許に係る販売場数と消費数量のそれぞれの地域的需給調整を行うために、卸売販売地域を設けています。各卸売販売地域(都道府県)における免許可能件数は、毎年9月1日に卸売販売地域内の各税務署の掲示板等に公告されるとともに、国税庁ホームページに掲載されます。

 

 

○標準処理期間

原則として、申請書等の提出のあった日の翌日から2か月以内となります。ただし、添付が漏れている書類や審査を行う上で必要となる参考書類の追加提出又は申請書類の補正が必要となる場合には、その連絡をした日から、その書類の提出等があるまでの間の日数は、標準処理期間から除外されます。

公開抽選を実施した酒類卸売業免許の標準処理期間については、公開抽選により決定した審査順位に従って審査を開始した日から2か月以内となります。このため、審査順位が後順位の申請等は、審査開始日が遅くなる場合があります。

 

 

○登録免許税

酒類卸売業免許が付与される場合、登録免許税を納付する必要があります。税務署から「酒類販売業免許に伴う登録免許税の納付通知書」により通知しますので、税務署又は金融機関等で登録免許税を納付してください。

登録免許税の額は、免許1件につき9万円(酒類小売業免許を条件緩和(解除)する場合は6万円)です。登録免許税の納付に係る領収証書は、「登録免許税の領収証書提出書」に貼付して、指定された期日までに税務署に提出してください。

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